新たなOECD報告書によれば、程度の差こそあれ、大部分の加盟国が教員不足の問題に直面しています。理数教科および地方、遠隔地、社会的・経済的に恵まれないコミュニティでの教員採用の厳しさは、特に喫緊の課題となっています。
世界の国・地域の教育の現況について比較可能なデータを提供するOECD年次報告「図表でみる教育2026年版(Education at a Glance 2026)」は、教員不足に焦点をあてています。教員の高齢化によって、教員不足に関わるこうした負担は今後数年間でさらに増すと見込まれています。
マティアス・コーマンOECD事務総長は次のように述べています「現在、最も必要とされているところに有資格教員を採用し、定着させ、配置していくことがますます難しくなっている」。「見通しを立て、教員の離職を防ぎ、水準を維持しながらも教員の養成・採用ルートを拡充していくことが学校制度には求められている」 。
公表されている教員の欠員数だけでは実態の一部しか把握できません。2024年度には、データのある20の教育システムすべてで、初等中等教育機関を併せての教員の欠員率は4%に満たないものでした。しかし、教員不足はしばしば特定の教科、学校、地域に偏って生じています。データのある16の国と地域のうち、11のOECD加盟国・地域が中等教育における理数系科目について、正式な資格を有した教員の不足を報告しています。
教員資格に関する課題はとりわけ深刻です。2024年度には、初等中等教育機関の教員のうち、正式な教員資格を有していない者の割合はOECD加盟国平均で9%でした。その割合は、チリ、デンマーク、エストニア、ドイツでは18%にのぼります。一方で、日本と韓国では、教職に就くためには正式な教員資格を有していることが求められます。
OECD加盟国全体で中等教育機関の教員の4人に1人が55歳以上であることは、今後数年間にわたり教員採用の必要性を高める要因となります。
85%の教員が仕事に満足していると回答している一方で、教員という仕事が社会から評価されていると考える教員の割合は22%に過ぎません。
給与水準は重要ですが、教員の採用と定着を決定づける唯一の要因ではありません。OECD加盟国平均では、教員の所得は、高等教育を修了した他職種の労働者の所得の87%から95%ですが、前期中等教育教員の初任給は、平均すると同等の学歴を持つ労働者の所得の61%にとどまります。適切な仕事量、職業上の裁量、効果的なスクールリーダーシップ、キャリア開発、教職に対する社会的評価も、教員という仕事の魅力を左右します。
教員不足は、経済全体における専門的な技能を持つ広範な人材不足を反映したものであり、高度な資格を有する人材を確保するため、教育分野は他分野と競合しています。
既存の人材をより活用すること、そして、水準を維持しながらも教員の養成・採用ルートを拡充していくことが教員不足に対処する取り組みとなります。専門性を備えた支援スタッフと連携した人工知能等のテクノロジーの活用は、教員の事務負担を軽減することで、授業や生徒の学習支援、進路指導により多くの時間をあてることを可能にします。
人口動態の変化は、教員配置やリソース配分をより効率的に行う機会にもなります。低下幅にはOECD加盟国内で差があるものの、OECD加盟国平均では、5~14歳人口は2024年から2033年の間に9%減少すると予想されています。この人口動態の変化は、政策立案者に対し、教員不足が最も深刻な学校、教科、地域へ教員や教育資源をより重点的に配分する機会となります。
図表でみる教育2026年版(Education at a Glance 2026)は、OECD加盟国38ヶ国およびアルゼンチン、ブラジル、ブルガリア、中国、クロアチア、インド、インドネシア、ペルー、ルーマニア、サウジアラビア、南アフリカ共和国、タイの教育制度の分析を行っています。具体的には、教育達成度、就学状況、教育財政、教育制度の運営といった、世界の教育制度に関する国際比較データを提供しており、2026年版では教員不足を特集しています。
主要な結果と図表を含む2026年版Education at a Glanceの概要は、以下でご覧ください(リンクはメディア掲載可能です)。
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