国際貿易および投資は長い間、成長と発展を促進する強力な原動力として、国を越えて貧困の削減と生活水 準の収束を可能にしてきた。しかしながら近年、国際貿易やグローバリゼーションに関する疑問が高まってきており、 グローバルバリューチェーン(GVC)における環境および社会に関する考慮事項の管理と統合の改善がますます求 められている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)危機は、これらの疑問を浮き彫りにし、必需品の安定 供給を確実にしてすべての人にメリットを生み出す GVC の能力についての議論を再燃させた。責任ある企業行動 (RBC)、貿易と投資との間で方針の一貫性を推進し、RBC を GVC の主流にすることで、GVC をより強靱 (レジリエント)かつ持続可能にするための道が開かれ、グローバリゼーションによる利益がより公平に分配されるよ うになる。 本書は、COVID-19 や気候変動などの他の脅威の観点で、RBC と GVC の強靱性(レジリエンス)におけるつ ながりを探るものである。また、ビジネス慣行、GVC の混乱、環境・社会への影響の間の関係性に光を当て、幅 広い深刻なリスクに対する強靱性(レジリエンス)を構築するための RBC に基づく実際的な選択肢を明らかに する。さらに本書において、貿易、投資および RBC の方針と実施をさらに統合し、パートナーシップを発展させて、 グローバル市場における信頼、強靱性(レジリエンス)と持続可能性を培うために、企業および政府が優先すべ き行動を提案している。
責任ある企業行動を通じたより強 靱(レジリエント)かつ持続可能 なグローバルバリューチェーンの 構築
