OECD―パリ、2019年3月18日
偽造品と著作権侵害物の取引は過去数年で着実に増加しており―貿易高全体が減少したにもかかわらず―、現在では世界全体の貿易の3.3%を占めていることが、OECDとEU知的財産庁の報告書から明らかになりました。
「偽造品と著作権侵害物の取引の動向(Trends in Trade in Counterfeit and Pirated Goods)」 では、世界全体の偽造品輸入額を2016年の税関での押収物のデータに基づいて5090億米ドルに上ると算出しました。2013年にはこの値は4610億米ドル(世界全体の貿易額の2.5%)でした。EU諸国については、偽造品取引は非EU諸国からの輸入のほぼ6.8%に上り、2013年の5%からさらに増加しています。この金額や割合には国内で生産、消費される偽造品や、インターネットで取引される海賊版は含まれていません。

商標や著作権を侵害する偽造品の取引は、企業や政府の犠牲のもとに犯罪者集団に利益を与えていることになります。医療用品、自動車部品、玩具、食品、化粧品ブランド、電気製品などの偽物は、製造の可能性だけでなく、健康や安全性全般を危険にさらすことになります。例えば、有効性のない処方薬、安全ではない歯牙充填剤、配線が不完全な電気製品による火災、口紅や粉ミルクへの基準を満たしていない化学物質の混入などがあります。
マルコス・ボンチュリOECD公共ガバナンス局局長は、EUIPOのEU Observatory on IPR infringements局長Paul Maier氏とEUの駐OECD大使Rupert Schlegelmilch氏との共同発表会見で次のように述べました。「偽造品取引は企業と国家の財政から財源を流出させ、犯罪行為を助長し、消費者の安全や健康を危険にさらすことになる。偽造品は、ガバナンスが不足しているところで蔓延する。知的財産を保護し汚職に対処するべくもっと多くの対策をとることが不可欠だ。」
2016年の押収品に占める財で最も多かったのは(ドル換算)、靴、衣料品、革製品、電気製品、時計、医療機器、香水、玩具、宝飾品、薬品です。税関当局によると、商標のついたギターや建築資材といった過去にはあまり見られなかった財の偽造品が増加してます。
偽造品の大半は中国大陸と香港で作られています。その他にも、主にアラブ首長国連邦やトルコ、シンガポール、タイ、インドなどで製造されています。
2016年に偽造品の影響を最も大きく受けた国は米国で、押収された偽造品の24%に米国の商標または特許が関わっていました。それに続いて影響が大きかった国々は、フランス(17%)、イタリア(15%)、スイス(11%)、ドイツ(9%)です。シンガポール、香港、ブラジルのような新興諸国の企業も、被害に遭うところが増えています。
郵便や宅配便で送られる小型小包は、税関でその一部しか検査できないという事情を犯罪者が利用するため、偽造品取引の主なルートになっており、この現象は増えています。小型小包は2014~2016年の全押収物の69%(容量ベース)を占めており(57%が郵便、12%が宅配便)、2011~2013年の63%から上昇しています。
小型小包の検査が不十分であることに加えて、偽造品の密売者に対する罰則に一貫性がないことと自由貿易圏に対する特別規則が、政策の陥穽が偽造品の密貿易を助長しているところです。これまでのOECDとEUIPOの分析によると、関税の免除、規制緩和などによって経済活動が促進されている自由貿易圏の急増が偽造品の密貿易の増加を後押ししている可能性があります。OECDは加盟諸国と協力して、貿易当局が問題を阻止する一助となる指針の策定に努めています。
本報告書は偽造品取引に関する研究の一環として出版されたもので、商標、意匠権を侵害するあらゆる偽造品と、著作権を侵害する有形資産の海賊版を対象としています。本書の対象ではありませんが、オンラインの海賊版も経済に損害を与えるものです。
本報告書は、こちらからダウンロードしてください。Trends in Trade in Counterfeit and Pirated Goods
本書について詳しくは、下記までお問い合わせください。
Catherine Bremer in the OECD Media Office (+33 1 45 24 80 97).
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