2016年11月20日、クアラルンプール
OECD開発センターの「東南アジア、中国、インド経済アウトルック」の最新版で、多くのOECD諸国において経済成長の停滞が続くと見込まれる中、新興アジア(東南アジア、中国、インド)では、成長の勢いがやや鈍化するものの、中長期的には堅牢に推移するとの見通しが公表されました。このアウトルックは国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)とアジア開発銀行研究所(ADBI)の協力を得て作成されたものです。
新興アジアの実質成長率は2015年では平均6.5%、2016年から2020年は平均年率6.2%と予測されています。中国の経済成長率は鈍化が続くものと見込まれていますが、インドはこの地域で最も高いレベルとなる高い成長率を維持するものと予測されています。東南アジア諸国連合(アセアン)地域の成長率は、2015年は平均4.6%、2016年から2020年の平均年率は5.2%と予測されています。(アセアン5ヶ国の中で)フィリピンとベトナム及びCLM諸国(カンボジア、ラオス、ミャンマー)が、アセアン地域の成長を牽引すると予測されています。概して、個人消費が成長に大きく貢献する見込みです。
アウトルックではこの堅調な成長を維持するために、中国の経済成長率の鈍化、米国の金融政策正常化、新興アジア諸国の生産性の伸びの鈍化といった課題を上手く乗り切ることが必要であるとの見方を示しています。
又、2016版のアウトルックでは、特別テーマとして、地域統合の強化が、堅調な成長を維持する上でいかに重要であるかについて、取り上げています。
マレーシアのASEAN ビジネス・投資サミットにおける本アウトルックの発表にあたり、玉木林太郎OECD事務次長は、「この地域は依然として国内および国外のリスクにさらされている。成長を堅調に維持するために、地域統合を強化することが不可欠である。また、地域統合に関するより適切な指標な構築とピア・ラーニング・政策対話を強化することによって、地域の課題により効果的に取り組むことが出来るようになる」と語りました。
様々な課題に対応するため、アセアン地域レベルと各国、およびアセアン地域とそのサブ地域の間で、コーディネーション更に強化する必要があります。同様に、アセアン近隣経済圏との連携深化を進め、より“グローバルなアセアン”としての地域統合を促進することも重要です。単一の経済市場を実現するためには、さまざまなレベルでネットワークの強化が持続的成長のために不可欠であるとアウトルックは述べています。
持続可能で包括的な成長を妨げる、域内の格差を是正することも重要です。特に、カンボジア、ラオス、ミャンマーにおいて、貧困の長期化やインフラ開発の促進は大きな課題です。
マリオ・ペッツィーニ OECD開発センター所長は、「地域統合においてグリーン成長(Green growth)および民間企業の成長といった点は重要で、地域統合の深化により大きな便益の得られる領域である」と指摘しています。
関税の撤廃と非経済障壁の排除によって統合を促進し、需要の多い再生可能エネルギー取引を促進できます。例えば、メコン地域の水力発電における協力の促進は、アセアン地域全体へ貢献につながるものです。同様に、地域統合の促進により、民間企業は、国境を越えた業務を拡大し、域内を活躍のベースにするような企業、“アセアン企業”へと変貌する確かな機会を得ることができるとアウトルックは指摘しています。
アウトルックの国別構造政策ノートでは、新しい開発戦略を策定するには、中小企業、金融、インフラ、労働市場、環境政策だけでなく、農業、教育、社会保障、観光の分野も含めた、包括的な改革パッケージを履行する必要があるとも指摘しています。
詳細については以下にお問い合わせください。
OECD開発センター
田中 兼介、アジア課長([email protected] 電話:+336 27 19 05 19)
Bochra Kriout、報道官([email protected] 電話:+336 26 74 04 03)
「東南アジア、中国、インド経済アウトルック」と国別政策フォーカスの詳細については、http://www.oecd.org/dev/asia-pacific/をご参照してください。
「アウトルック」は、2014年のOECD閣僚理事会議で発表された「東南アジア地域プログラム」に貢献するものです。東南アジア地域プログラムはOECDとASEAN諸国の政策立案者間でのベストプラクティスを議論、共有することを目的としています。
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