OECDの経済見通しは明るくなっているが復興は均一ではない

 

OECD -2021年5月31日、パリ

最新のOECD Economic Outlookによると、世界経済の見通しは明るくなりましたが、復興は依然として均一ではなく、公衆衛生措置と政策支援の有効性に左右される可能性が高いということが重要です。

多くの先進諸国ではワクチンを接種する人が増加し、政府の景気刺激策で需要が高まり、企業はウイルスの感染拡大を防ぐための規制に次第に適応しつつあります。しかし、新興諸国を含めワクチン接種も政府支援の範囲も限られている多くの国々では、経済の回復は緩やかになるでしょう。

OECDは、2020年12月に発表したOECD Economic Outlook以来、世界の主要諸国の成長見通しを上方修正しました。現在の見通しでは、今年の世界のGDP成長率は、米国政府主導の景気刺激策で米国の景気が上向くため5.8%(12月の推定は4.2%)になり、2022年は4.4%(12月の推定は3.7%)になると推定されています。世界経済は現在、パンデミック以前の活動レベルに戻っていますが、実際の世界全体の所得は2022年末になっても依然として危機が発生しなかった場合の推定値を3兆米ドル下回ると見られています。

世界人口の大半がワクチンを接種せず、新たな感染発生のリスクが残る限り、復興の状態は均一ではなく再び後退した場合に脆弱であると、本報告書は述べています。移動や活動に対する的を絞った制限措置の一部、特に国境を越える移動などは引き続き維持する必要があるでしょう。これは、ワクチン接種が迅速に進んでいる国や感染率が低い国も含め、あらゆる国々の完全な復興の見通しに影響を与えます。

各国間の差を広げているのは、公衆衛生戦略、ワクチン接種のスピード、財政支援、観光業のような深刻な打撃を受けた業界のその国の経済における相対的重要性です。韓国と米国は、すでにパンデミック以前の所得水準に回復しましたが、多くの欧州諸国は回復までにさらに一年かかると見られています。メキシコと南アフリカでは、さらに3~5年かかる可能性があります。

この見通しには多くの不確定要素が含まれていますが、リスクは潜在的なプラスの影響とマイナスの影響との間で均衡がとられている状態です。ワクチン接種が進まない国々では、新たな変異株の出現可能性と相まって、さらなる感染のリスクが依然として非常に高くなっています。そうすると新たな外出制限措置が取られ、復興が遅れることになります。

良い面は、特に先進国では、危機の間に増加した世帯貯蓄が経済の再開で解放され、消費が増えて成長が予測されている水準より高くなる可能性があります。

 

Economic Outlook 推定値

© OECD Economic Outlook Projections - Real GDP growth

 

先進国の累積需要が解放される一方で新型コロナによって供給網が途絶していることから、インフレが進み市場の利率が高くなる可能性があり、それが翻って脆弱な新興市場諸国と開発途上国に財政的圧力となる恐れがあります。しかし、本アウトルックによると、供給の途絶が今年末までに徐々に解消され、生産能力も正常に戻り、消費は財からサービスへとバランスを取り戻すため、 インフレ率の上昇は一時的なものです。また、OECDは、多くの人々が依然として失職しているため、賃金が急上昇して物価が上昇するというサイクルは起こりえないとも述べています。

アンヘル・グリアOECD事務総長は、本アウトルックの発表会見で次のように述べました。「多くの国々で効果的なワクチンプログラムが実施されているおかげで、本日のEconomic Outlookはこの破壊的なパンデミックの始まり以来最も明るい見通しを示している。しかし、世界中の何百万もの人々にとっては、ワクチン接種はまだ遠い先のことである。ワクチンの製造と公平な供給をさらに進めていくことが急務である」

ローレンス・ボーンOECDチーフエコノミストは次のように述べました。「OECDの最新の見通しには、多くの国々でパンデミックの打撃が深刻な人々が間もなく仕事に復帰し、通常の生活を送れるようになるという希望が見える。しかし、今は復興の重要な段階である。ワクチンの製造と供給を世界的に加速させ、それを有効な公衆衛生戦略で後押ししなければならない」

「低所得国が国民のワクチン接種を進めるために必要としている医療と財政双方の資源を提供するために、国際協力を強化することが求められる。医療製品の自由な取引を認めなければならない」 

ボーン氏は、人々と企業に向けた所得支援は継続すべきだが、経済の強さと感染状況に沿って変化、適応させるべきだと述べています。外出制限措置が解除されると、例えば学び直しや就職斡旋などの支援を最も必要としているところに的を絞って行うことで、特に低技能者と若者の可能性が改善します。また、支援を採算の取れている企業に向けて、負債を減らして資本を増やすことを奨励し、雇用を創出してデジタル化に投資する必要があります。

パンデミックの期間中に行われた政府の財政支援により、多くの国々で公的債務が急増しましたが、本アウトルックによると、現在の低金利のおかげで債務返済コストは管理できるので、医療、デジタル化、気候変動対策といった分野への投資に道を開くべきです。ボーン氏は、次のように強調しています。「債務の持続可能性は、復興が大きく進んだときに優先事項とすべきだが、政府は公財政管理を徹底的に見直す計画を立てるべきである。今回の危機は尋常なものではなく、したがって復興も普通の手段ではできない。過去の危機で採られた政策を抜本的に改革し、現在と将来の課題により効果的に対処すべきである」

 

 

 

 

本アウトルックの詳細は下記のサイトをご覧ください。 Economic Outlook online.

ジャーナリストのお問い合わせは下記までお願いします。OECD Media Office (tel: +33 1 4524 9700).

 

 

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