OECD - パリ、2017年4月13日
最新の「対日経済審査報告書 (OECD Economic Survey of Japan)」によると、日本経済は活性化して雇用が創出されています。
アンヘル・グリアOECD事務総長は、東京で本報告書の発表会見を行いました。本報告書によると、近年の1人当たりの成長率は、他のOECD諸国に匹敵しており、大きく改善していると言えます。本報告書は、アベノミクスが経済回復において果たしている主な役割を強調しています。
しかし、高い政府債務残高と労働力の減少が問題となる中で、この経済の拡大を確実にし、将来的な経済的繁栄と暮らし良さを確保するためには、さらなる取り組みが必要です。本報告書は優先的に改革を行うべき分野を明らかにしています。その中には、労働参加率を高める取り組みの強化、「正規」雇用、特に女性のそれをさらに創出すること、生産性の向上、国家財政を持続可能な軌道に乗せることなどが含まれています。
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アンヘル・グリアOECD事務総長は、次のように述べました。「アベノミクスは経済成長と雇用創出を加速させた。しかし、日本の人口問題と財政問題に対処するには、特にOECDの先進諸国に遅れを取っている生産性を向上させる取り組みを強化し、改革を一層進める必要がある。労働市場では、女性の雇用機会を拡大すべきである。より強く持続可能な生産性の向上が、より包摂的な成長につながり、繁栄による利益が社会全体に公平に行き渡るようになる。」
人口高齢化による労働力不足という課題を抱える中で、日本は女性の雇用の妨げとなるものを、特に妥当な価格で利用できる保育を増やしたり、残業時間を制限して長時間労働の慣行を変えたりすることで、取り除くことが重要です。これは、あらゆる労働者のワーク・ライフバランスを改善することにもなります。また、これは安倍晋三首相が推進する「ウーマノミクス」と最近取り組んでいる「働き方」改革にとっても良い兆候です。
本報告書によると、労働市場の二重性ー「正規」労働者と「非正規」労働者との間に区分があり福祉手当、給与、雇用保護などの水準が異なっているーの解消は、包摂的成長を促進する鍵を握っています。
人口高齢化によって医療費と年金支出が増加し続けることで、政府債務はさらに押し上げられ、2016年にはGDPの219%と、OECD諸国が過去に経験したことがない高水準に達しました。長期的に持続可能な財政を確保するには、具体的で確かな財政計画を実施して、債務比率を縮小させる必要があります。本報告書では、公的支出の抑制と、特に消費税率の段階的引き上げと環境税増税による歳入増加を提言しています。
本報告書では、生産性の向上が同時に日本の人口問題と財政問題に対処し、成長をより包摂的にすることに繋がると強調しています。製造業の企業とサービス業の企業の間にある生産性の大きな隔たりと、大企業と中小企業とのそれを埋める改革を導入することが、これら2つの目標の達成を後押しします。優先課題として、本報告書は、成長できない企業の市場からの退出を促進する個人破産制度の改善、起業の奨励、世界経済への日本の統合を高めることを挙げています。
本報告書の概要(Overview)と主な結論は、以下のウェブサイトでご覧いただけます。 http://www.oecd.org/japan/economic-survey-japan.htm.
報道関係者のお問い合わせは、OECD東京センターの渡辺([email protected] / tel. 03-5532-0021)、またはOECDパリ本部メディア課([email protected] / tel. + 33 1 4524 9700)までお寄せください。
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