OECD ― パリ、2019年9月18日
OECD諸国への移民流入数は2018年はわずかに増加して、約530万人の新規永住移民が入国しました。これは2017年と比べると2%の増加です。家族移民と労働移民は増加しましたが、庇護申請数は急速に減少しました。
『OECD国際移民アウトルック2019 (International Migration Outlook 2019)』によると、庇護申請数は2018年は109万件まで減少し、過去最高を記録した2015年と2016年の165万件と比べると35%の下落でした。アフガニスタンからの庇護希望者が大多数を占めており、シリア、イラク、ベネズエラ出身者がそれに続いています。庇護申請数が減少したため、登録された難民の数も28%減少しました。

移民の雇用見通しは、過去5年間の改善傾向に基づいて、2018年も引き続き良好でした。OECD諸国平均で68%を上回る移民が雇用されており、移民の失業率は9%を下回っています。しかし、若年の移民と低学歴の移民は、依然として働き口を得ることに苦慮しています。
短期労働移民は2017年に大幅に増加して490万人に達し(2016年は440万人)、10年以上前にOECDがこの数値を公表し始めて以来最多となりました。短期労働移民を最も多く受け入れているのはポーランドで、米国を上回っています。欧州連合(EU)と欧州自由貿易連合(EFTA)地域では、雇用主によって他のEU/EFTA加盟国で働くよう「配置された(posted)」労働者が、短期労働者の最大のグループで、ほぼ270万件に上りました。
アンヘル・グリアOECD事務総長は、パリで開かれた発表会見で次のように述べました。「短期労働移民の急増は、OECD諸国の労働市場の力強さの兆しであると同時に、移民の活力の兆しでもある。短期移民は雇用主が求める技能と能力をもたらす。」
短期労働移民の中には、滞在期間が数週間の人もいれば、数年にわたる人もいます。OECD諸国の中には、短期移民の貢献度が相当大きい国があります。データが入手できる20カ国中6カ国では、短期労働移民が居住雇用者人口を2%以上押し上げています。
また本アウトルックによると、OECD諸国は選抜方法を改良し需要のある技能を持つ人を優先するために、労働移民プログラムを継続的に調整しています。いくつかの国々は、投資家である移民の入国管理を見直したり、スタートアップを発展させる移民のために新たなプログラムを創設したりしています。家族の入国手続きを制限する措置を導入したり、庇護手続きを合理化したりする国もあります。
家族とともに移民する、または先に移民している家族に合流する家族移民は9%増加、労働移民は6%増加しました。2018年にはまた、OECD諸国全体で高等教育機関に入学した留学生数が急増し、7%上昇して350万人を超えました。しかし、主要な留学先である米国では、学生の流入が減少し、OECD全体に占める割合が縮小しました。
家族移民が移民流入数全体の40%と、様々な移民カテゴリーで最大となりました。この家族移民のカテゴリーには、OECD諸国のネイティブで外国から配偶者を伴った人や、家族とともに入国した移民、再会した家族が含まれます。家族のいる移民の半数以上は、初めは家族を伴わずに移民していました。
家族の再会の遅れは、配偶者とその社会統合の見通しに影響しますが、特に女性の場合にその影響が大きくなります。本報告書では、最初に移民してきた人が家族と再会できる前に直面する社会統合に関わる厳しい条件と、その配偶者の社会統合の条件との間の考え得るトレードオフを明らかにしています。家族の再会が遅れると、移民の子供の社会統合をも損ない、彼らの移民先の国の言語能力とそこで受ける教育の成果をも下げる恐れがあります。
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