2016年9月5日 中国・杭州
中国浙江省の杭州で開催されたサミットにおいて、G20各国首脳は、世界経済がより強靭かつ革新的で包摂的になるよう、OECDに対してアジェンダ作りを要請しました。

G20首脳は、成長戦略を実施に移すための一連の行動計画を支持しました。この戦略は、イノベーション、スキル、起業、投資、生産性向上、マネーロンダリング対策のための貿易、租税回避の阻止、鉄鋼分野の過剰供給の減少など、非常に広汎な政策分野に及びます。
中国が議長国を務めた今回のG20の主な焦点は、経済成長の新しい原動力を特定することでした。科学技術への投資支援、スキル向上、知識の共有の促進を目指すイノベーション・アクション・プランを統合するという議長国の目標を支援するべく、OECDはアイディアや分析、データを提供し貢献してきました。
議長声明の中で、G20諸国首脳はOECDを始めとする国際機関のデジタルエコノミーを測定する取り組みをを歓迎し、ICT分野においてブロードバンド・アクセスと投資を拡大させることを約束しました。各国首脳はまた、いわゆる新産業革命という機会、特に製造業において新たな技術がもたらす機会を捉えるよう呼びかけました。首脳は、協力や研究を強化することに合意し、技術変革の影響を最も強く受ける労働者を支援することで合意しました。
アンヘル・グリアOECD事務総長は、「中国がG20議長として、イノベーションを中核に据えたことは賞賛に値する。これは過去の問題を修復するためだけでなく、将来の成長の礎を築く上でも重要である。この成長の多くは、新しいアイデアと技術によってもたらされるだろう。」と述べました。
グリア事務総長は各国首脳に対して、経済活力の新しい源を活用することの緊急に必要であることを強調しました。事務総長はまた、世界経済が低成長の罠に捕らわれたままであることを指摘しました。世界経済危機が始まって8年経った今も格差や失業率は高い状態が続いています。賃金や生産性の伸びは弱く、貿易と投資も低迷しています。2014年にG20諸国がした、2018年までに世界GDPをあと2%の上昇させるという公約も、OECDとIMFが監視していますが、現状のままでは1%程度の上昇になるとみられています。
グリア事務総長は「我々はまだ道半ばである」と述べ、G20各国に成長に向けた公約を完全に実施に移すよう呼びかけるとともに、「製品市場競争、スキル向上、労働者の流動性、金融市場の力強さを促進する構造改革が、生産性に弾みをつけ、長期的、包摂的な成長を支えるイノベーション支援環境を整備する上で必須である。」と述べました。
高まる保護主義のリスクに対抗するため、G20首脳は、貿易・投資協力を強化することにより開放された世界経済を構築することを目指すと述べました。この分野におけるOECDの貢献としては、投資政策策定ガイドラインの作成や、不要な貿易コストを削減してサービス市場を開放し、さらに貿易促進方策を優先させる各国政府の努力を支援するために分析を提供することなどが含まれています。世界経済において投資は弱まっていますが、G20は、よりダイナミックな世界経済の成長のためには投資が重要な役割を果たすことも強調しました。
グリア事務総長は、G20首脳に対して、税の透明性や租税回避対策といった分野では、改革が効果的に実を結んでいると示しました。
現時点で85の国と地域(多くの途上国を含む)が、新しいG20/OECD包摂的枠組みを通して、BEPS(税源侵食利益移転)プロジェクトを実施、監督することを公約しています。BEPSプロジェクトは企業の利益を「消滅」させたり、意図的に税率が低い、または無税の地域に移転させることを許すギャップを縮めるものです。
2018年までに101の国と地域が、金融口座情報の自動的交換を始めることになっています。自発的な情報開示とその他の同様のプログラムのおかげで、既に約550億ユーロの追加税収があることが明らかになっています。各国首脳は、2017年サミットまでに非協力的な国と地域の一覧を作成するよう要請しました。
税制改革に関して、統合が進むグローバル経済の諸問題には継続的に協力して取り組むことが必要であるため、首脳陣により議論された全てのアクション・プランと同様に参加各国が確実に一貫して実施に移すことが不可欠です。
ガブリエラ・ラモスOECD首席補佐官・G20シェルパは、「OECDは、中国が議長国を務めるG20の広範な政策分野において戦略的パートナーであることに誇り思う。今後は更に前進し、我々は新しいイノベーション成長に関するG20タスクフォースを促進し、鉄鋼の過剰供給を始めとする様々な問題について議論をする場を提供する。」と述べました。
ラモス氏はまた、スキルや訓練の役割、インフラ投資、中小企業支援といった他の重要分野に対するOECDの貢献も強調しました。
持続可能な開発のためのG20アクション・プランは、サミットの前夜に世界の二大経済大国である米国と中国が気候変動に関するパリ協定に正式に調印することを表明したことで、弾みがつきました。米中両国は、化石燃料助成に関するピアレビューも発表し、このピアレビューチームの議長を務めたOECDはこの動きを歓迎しました。OECDはまた、グリーン・バンクやグリーン債を含むグリーン・ファインナンスの分析にも貢献しました。
G20活動に対するOECDの貢献については、www.oecd.org/G20 をご覧ください。
G20杭州サミットや声明に関しては、http://www.g20.org/English/index.html をご参照ください。
報道関係者のお問い合わせは、OECDパリ本部メディア課([email protected] +33 1 4524 9700)または、OECD東京センター報道広報官([email protected] )までお寄せください。
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