OECD - 2016年3月15日
OECD加盟国の医者及び看護師の数は、史上最多レベルに達しました。OECDの最新レポートによると、各国は人々の変化する医療ニーズに応えるため、さらに開発途上国を含む外国で研修を受けた医療従事者への依存を減らすために、新たに研修や雇用戦略を改革する必要があります。
「Health Workforce Policies in OECD countries: Right Jobs, Right Skills, Right Places (仮訳:OECD加盟国における医療労働力政策:適職、適材、適所)」によると、2013年には360万人の医師と1,080万人の看護師がOECD加盟国で雇用されていましたが、これは2000年の医師290万人及び看護師830万人から大幅に増加しています。
医師数は、特にトルコ、韓国、メキシコといった2000年には少なかった国々で特に急激に増加しました。看護師数も、ほぼ全てのOECD加盟国で増加しており、2000年に少なかった韓国やポルトガルだけでなく、2000年時点で既に多かったスイス、ノルウェー、デンマークでも増加しました。
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この増加の主な要因は、医療・看護教育・研修プログラムで受け入れる生徒数が大幅に増加したことにあります。移民の医師及び看護師数の増加も一因で、2013-2014年にはOECD加盟国における勤務医の17%、看護師の6%が外国で研修を受けた人々でした。外国で研修を受けたこれらの医師、看護師の3分の1は他のOECD加盟国出身者ですが、すでに深刻な医師、看護師不足に直面しているアフリカの低所得国から来る医療従事者も多くいます。
アンヘル・グリアOECD事務総長は次のように述べています。「高齢者の医療と長期介護のニーズは変化しており、それが医療部門のイノベーションを刺激するはずだ。適切な雇用を創出し、適材適所に重点が置かれるようにしなければならない。国民皆医療、全ての人々に質の高い医療をもたらすために必要な医療労働力に対して、世界全体で戦略的に投資できるよう、各国は協力をさらに強化すべきである。」
本レポートによると、医師や看護師の多くが、自分の技能と仕事で求められていることとの間にスキルミスマッチがあることを訴えています。医師の約半数、看護師の40%が、自分がしなければならない作業に対して自身の技能が足りないと述べています。また同時に大多数の医師、看護師は、自分の職務よりも自身の技能レベルの方が高いと述べています。
これらの課題に対応するために、OECDは3つのポイントを政策として実施するよう 提案しています。
適職
- 将来のニーズを満たすために充分な数と適切な構成の医療従事者を訓練する。多くの開発途上国、新興諸国のように、特に医療従事者不足が喫緊の課題となっている国々が育成している医療従事者に過度に依存しない。
適材
- 医療従事者が適切な技能を身につけ、それを活用する機会を与えられるようにする。それによってチームワークをより重視した、患者本位のアプローチをとる質の高い医療サービスを提供できるようになる。
適所
- 財政的なインセンティブを与えたり規制を設けたりして、医療従事者とサービスの地理的分布をより均等にすることで、また特に遠隔医療のような革新的な医療サービスモデルの活用をさらに促進することで、人々がどこに住んでいようと適切な医療を受けられるようにする。
本レポートは、フランソワ・オランドフランス大統領とジェイコブ・ズマ南アフリカ共和国大統領が共同議長を務める保健従事者の雇用と経済成長に関するハイレベル・パネルにおける国連事務総長の最近の声明にしたがって沿って発表されたものです。アンヘル・グリアOECD事務総長は、マーガレット・チャンWHO事務局長、ガイ・ライダーILO事務局長とともに共同副議長を務めています。
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報道関係者のお問い合わせはメディア課 ( OECD’s Media Division (+33 1 45 24 97 00))またはOECD東京センター([email protected], 03-5532-0021)まで。
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