OECD - パリ、2021年10月26日
ここ数年、炭素税や排出権取引制度を導入、拡大した国々が増えたことで、現在ではG20諸国・地域におけるエネルギー関連のCO2 排出量のほぼ半分が、炭素価格の対象になっています。
OECDの新報告書によると、各国が長期的な気候変動への意欲と成果を一致させるためには、あらゆる政策手段を用いてさらに取り組みを強化する必要があります。
「新型コロナ時代における炭素価格制度:G20諸国では何が変わったのか(Carbon Pricing in Times of COVID-19: What has changed in G20 economies?)」によると、G20諸国・経済では、2021年にはエネルギー使用からのCO2 排出量の49%に価格が付けられており、その割合は2018年の37%から上昇しました。
この上昇は、カナダ、中国、ドイツで新たに新たな排出権取引制度(ETS)が導入されたこと、新たにカナダで炭素課徴、南アフリカで炭素税、さらにメキシコで準政府レベルで炭素税が導入されたことによるものです。
マティアス・コーマンOECD事務総長は次のように述べています。「G20諸国・地域は、炭素排出量の明示的・暗黙的な価格設定を含む様々な方法で、意欲的な取り組みを強化している。しかし、国及び産業部門によって進捗にばらつきがあり、世界的に十分な調整が行われていない。2050年までに世界全体で排出量実質ゼロを達成するために必要なレベルまで各国が取り組みを強化できるようにするには、世界的に一貫性のあるアプローチが必要である。地球への排出の負担を適切に反映し、パリ協定の気候目標を真に達成できるよう我々の軌道を正すには、炭素価格と同等の措置を大幅に強化し、世界規模で調整する必要がある」

G20諸国・地域は、世界の温室効果ガスの約80%を排出しており、エネルギー関連のCO2排出量は、G20全体からの温室効果ガス排出量の約80%を占めています。
炭素価格の対象となっている排出量の割合は、G20諸国間に大きな差があり、最も大きいのは韓国で97%です。G20の排出権価格設定は、道路交通(排出量の94%が燃料消費税の対象)、電力(排出量の64%に価格設定)で最も高く、産業(24%)と建物(21%)で最も低くなっています。最近の変化は、電力部門に集中しています。
最近の進捗を牽引しているのは、「明示的」な炭素価格です。これは、炭素税と排出権取引制度を利用して炭素集約型燃料のコストを引き上げ、企業と家計に気候変動に配慮した選択を促すというものです。また、このようにして得られた収入は、エネルギーの利用しやすさの向上と価格の適正化、社会的セーフティネットの強化、低炭素インフラへの投資など、対象を絞った支援に活用することができます。明示的な炭素価格は、クリーンテクノロジーへの投資を促すことにもなります。
現在、G20の12カ国が明示的な炭素価格制度を導入しているか、EU域内排出量取引制度(EU ETS)に参加しています。G20における明示的な炭素価格は、CO2 1トン当たり平均4ユーロまで上昇しており、EUのETSにおける炭素価格が4倍になった2018年には1ユーロでしたが、今では3ユーロになりました。一方で、G20全体の平均炭素税は1トン当たり1ユーロ未満にとどまっています。
また、本書によると、G20経済圏の平均「実効炭素レート」(明示的な炭素価格と燃料賦課税の合計)を計算すると、2018年から約2ユーロ上昇しており、CO2 1トンあたり19ユーロになりました。
本報告書とカントリーノートは、下記ウェブサイトでご覧いただけます。https://oe.cd/carbonpricing-g20
COP26開催中の11月3日(水)に、本報告書のオンライン発表が行われます。パスカル・サンタマン氏と世界資源研究所のヘレン・マウントフォード副所長が主要な調査結果について説明します。参加ご希望の方は、こちらからご登録ください。
報道関係者のお問い合わせは、下記までお寄せください。Catherine Bremer in the OECD Media Office (+33 1 45 24 80 97)
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