2015年3月5日, パリ
最新のOECD報告書によると、学業成績の男女格差は教育制度の大幅な進展により是正されていますが、我々が考ているよりはるかに早い段階で決断されているキャリア選択に関しては依然として根強い男女格差が残っています。
『PISAから見るジェンダーと教育』によると、その原因の一端は、両親、教師、雇用主の間に見られる、意識的、無意識的な性別間の偏見にあります。
ステファン・カッファラOECD事務次長は、スペインのマドリードで、本報告書を発表し、「男女格差の是正についてはこの20年間に大幅に進展したが、我々は、子どもたちの意識が自身の能力や将来のキャリアに向けられるよう、社会的及び情緒的側面に取り組む新しい方策を見出す必要がある」と述べました。「今回の調査が示しているのは、広範囲に及ぶ高コストの教育改革ではなく、実は両親、教師、雇用主の協調した取組みこそ重要なのであるという朗報だ。」。
国際学習到達度調査(PISA)の科学テストでは男女とも同じ成績であるにもかかわらず、科学・技術・工学・数学(STEM)分野のキャリアに就こうと考える生徒の割合は、男子の5人に1人に対し、女子は20人に1人以下です。これが何故重要かというと、これらの分野のキャリアは旺盛な需要があり、最も高給なキャリアの一つといえるからです。
PISA調査によれば、女子は科学と数学に関しては男子より自信がないものの、新たな分析は、両親の後押しの著しい差がこの問題をさらに悪化させていることを明らかにしています。
息子と娘の能力が同じ場合でも、息子に対してSTEM分野のキャリアに就くことを期待している両親の比率は、娘に対して同じ期待を抱いている両親の比率よりはるかに高くなっています。チリ、ハンガリー、ポルトガルでは、息子に対してSTEM分野のキャリアに就くことを期待している両親の比率は約50%である一方、娘に対して同じ期待を抱いている両親の比率は20%以下です。韓国では、この差は7ポイントのみです。
新たな分析は、学業成績が平均以下の生徒の比率は男子の方が女子よりはるかに高く、これが退学と女子より高い中退率をもたらしていることも明らかにしています。PISA調査では、読解力、数学、科学の得点が低い生徒の10人に6人は男子です。(男女別及び国別の得点が低い人の割合)
本報告書によれば、読解力を伸ばすことが極めて重要です。男子と女子では読書の嗜好が異なっており、小説や雑誌を読む比率は女子の方が高く、男子はマンガや新聞を好んでいます。教師と両親はこの点を一層考慮し、家庭や学校での読書に関して子どもにより多くの選択肢を提供すべきです。適度にビデオゲームをすることも男子のデジタル読解力の得点を押し上げています。
数学はPISA参加国の約半数で男子の方が女子より好成績ですが、男女両方の数学の成績を上げるために教師はもっと多くのことができます。生徒に数学の問題をどのように解いたかの説明を求めたり、教室の外で学んだことを適用することを求めたり、もっと個人で勉強することを求めたりする教育戦略は、全般的な、特に女子の成績向上に繋がります。
報告書は、PISAの数学テストの成績が同じ場合には、教師は数学に関しては男子より女子に常に高得点を与えていることも明らかにしています。データが示唆するところによれば、これは女子の方が授業をよく聞き、行儀がよく、その結果として得点がかさ上げされているということかもしれません。雇用主は学校の成績ではなく、知識や能力で人材に報酬を与えるので、これは、長い目で見ると、女子にとってプラスではなくマイナスに働く、と報告書は述べています。
雇用主は男子に対する既存の偏見も示しています。インターネットを通じてキャリア研究をする比率は女子の方が高いのに対して、インターンとしての就労や就職フェアへの参加、学外の就職アドバイザーへの相談などにより実地体験をする比率は男子の方が高くなっています。雇用主は、自分が就くかもしれないキャリアについて女子がもっと多くのことを知ることができるよう、より多くのことをすることができる、と報告書は述べています。
>> PISA in Focus: 教育における男女格差の背景(日本語版)
>> 『PISAから見るジェンダーと教育』 全文
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