OECD、マニラ、2017年11月14日
OECD開発センターの「エコノミックアウトルック-東南アジア、中国、インド 2018年版 (Economic Outlook for Southeast Asia, China and India 2018) 」 最新号では、新興アジア諸国(東南アジア、中国、インド)の中期的に持続的成長には、デジタル化の促進が重要である、と指摘しています。
本報告書は、新興アジア諸国の2017年の実質GDP成長率は、堅調な内需、投資、回復基調にある貿易に支えられ、中期的に底堅い見通しが続くと予想しています。特に、東南アジア諸国連合(ASEAN)地域の経済成長率は、2016年度に続き、2017年でも高い成長が維持されることを指摘しています。国内消費と貿易に下支えされ、ASEAN諸国 と中国は、上昇基調の成長が見込まれる一方、 インドの 成長は、税と金融改革により、弱含みことが予想されています。
今後も貿易の回復基調が続けば、国内の構造改革の進展やインフラの政策(プログラム)の実施などにより、新興アジアは中期的にも-2018年から2022年にかけて、平均 6.3% の経済成長率が見込まれています。東南アジアも、同期間において、 5.2% の成長率が見込まれ、堅調に推移する旨が指摘されています。
一方で、本報告書では、主な成長のリスク要因として、先進国の迅速な金融政策の正常化の動向、貿易面、特に地域貿易協定の進展の遅さ、民間セクターの債務の急激な上昇が指摘しています。
マリオ・ペッツィーニOECD開発センター所長兼OECD事務総長特別顧問は、ASEAN 50周年を祝うASEAN ビジネス・インベストメント・サミットでの本報告書のラウンチに際し、「新興アジアは、デジタル化の変革の波に上手くのっていく必要がある」と述べました。本年の報告書の特別テーマは、新興アジア諸国におけるデジタル化の影響です。デジタル化による既存の産業の拡大、例えば、ベトナムにおける電子機器製造、ソフトウェア開発、ICT (情報通信技術) の台頭、フィリピンにおけるナレッジ・プロセスのアウトソーシングや、中国におけるモバイル決済などがとりあげられています。貿易面でも影響があり、幾つかの国でICTサービス関連の輸出の上昇がみられます。例えば、インドでは、サービス部門の総輸出が14.9% に達します。
新興アジア諸国のデジタル化は進展する一方で、アクセスが、国によってまちまちであるという問題があります。例えば、インターネットの使用率―デジタル化経済への参加のための前提条件―は、シンガポールでは人口の 81%に達するものの 、ラオスでは人口の 22% 程度にすぎません。
又、本報告書では、新興アジアの貿易・金融の面で地域統合について分析もされています。ASEAN 経済共同体 (AEC) のビジョンを達成するため、統合を推進するための更なるイニシアティブが、重要であることが指摘されています。
報道関係者のお問い合わせは、田中兼介、アジアデスク統括、OECD 開発センター([email protected]; Tel: +336 27 19 05 19) 又は、Bochra Kriout (ボシュラ·クリオッツ)プレスオフィサー、OECD 開発センター ([email protected];tel: + 33 145 24 82 96) までお知らせください。
「エコノミックアウトルック-東南アジア、中国、インド2018年版」の国別ノートなど、詳しい情報は、下記のウェブサイトをご覧ください。
報告書について
OECD開発センター刊行の「2018年版のエコノミックアウトルック-東南アジア、中国、インド (Economic Outlook for Southeast Asia, China and India 2018)」は、UNESCAPとASEAN・東アジア経済研究所(ERIA)と共同で作成されました。本報告書には、主要政策分野における地域統合の最近の動向と、ASEAN10カ国、中国およびインドの国内構造改革の課題に取り組む各国別の分析も含まれています。
「エコノミックアウトルック-東南アジア、中国、インド」は、「OECD東南アジア地域プログラム」に貢献すると共に、東南アジア諸国とOECD加盟国の政策立案者間の相互学習とベストプラクティスの意見交換・促進を目的としています。
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