OECD -2021年11月9日
新型コロナウイルスの直接的、間接的影響により、予想された死亡数がOECD諸国全体で2020年から2021年前半に16%増加しました。OECDの新報告書によると、平均余命は比較可能なデータがある30か国中24か国で下落し、特に米国( - 1.6年)とスペイン( -1.5年)で大きく下落しました。
「図表で見る医療2021年版(OECD Health at a Glance 2021)」によると、パンデミックの精神衛生への影響は甚大で、不安とうつ病の患者数はデータがあるほとんどの国々で新型コロナ危機前の水準の二倍に増加しており、特にメキシコ、英国、米国で大幅に増加しました。

新型コロナウイルスは、それに感染していない人々にも大きな間接的影響を及ぼしています。例えば、乳がん検診の受診率は、データが入手可能なOECD諸国全体で、2020年には2019年より平均で5%ポイント低下しました。待機リストの日数の中央値は、2019年と比較して2020年には股関節置換術で平均58日、膝関節置換術で88日増加しました。
新型コロナウイルスのパンデミックにより、OECD全体で医療費が急増しています。経済活動の低下と相まって、平均医療支出の対GDP比は、データが入手可能なOECD諸国全体で、2019年は8.8%でしたが2020年には9.7%に跳ね上がりました。パンデミックの影響を深刻な国々では、医療支出が空前の増加となりました。英国では2019年の10.2%から2020年には12.8%に上昇すると推定されており、スロベニアでは8.5%から10%超に上昇すると予測されています。
パンデミックにより、医療従事者が慢性的に不足していることが浮き彫りとなり、今後何年もかけて一次医療と疾病予防の改善への投資を増やし、医療制度の危機対応力と備えを強化することを重視すべきです。実際、本報告書によると、医療支出は引き続き、疾病予防と健康増進ではなく主に治療を重視し、 一次医療よりも病院にはるかに多く費やされます。パンデミック以前には、医療支出はOECD諸国全体で1人あたり平均4,000米ドルを超えており、米国ではほぼ11,000米ドルに達していました。入院と外来診療のサービスが医療費の大部分、通常は医療費全体の60%を占めています。
ほぼすべてのOECD諸国で、過去10年間に医師と看護師の数が増加しましたが、依然として不足しています。本報告書によると、医療介護スタッフの不足の方が、病床や設備よりも大きい制約であることがわかっています。
またパンデミックにより、喫煙、有害なアルコール摂取、肥満などの不健康な生活習慣の影響で、新型コロナウイルスで死亡するリスクが高まることが明らかになりました。それでも、疾病予防向け支出は比較的少なく、医療支出全体に占める割合は平均わずか2.7%です。
過去10年間に、ほとんどのOECD諸国で日常的に喫煙する人の割合が低下しているにもかかわらず、依然として17%は毎日喫煙しています。喫煙率が25%に達しているのは、トルコ、ギリシャ、ハンガリー、チリ、フランスです。
分析対象となったOECD諸国では、人口の4~14%が大量に飲酒しており、アルコールの31~54%を消費しています。特に有害な飲酒が多いのは、ラトビアとハンガリーです。
肥満率はほとんどのOECD諸国で上昇を続けており、成人の平均60%が太りすぎまたは肥満とされています。肥満率が最も高いのは、メキシコ、チリ、米国です。
OECD Health at a Glance 2021と、オーストラリア、オーストリア、チリ、コロンビア、コスタリカ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、メキシコ、スペイン、スイス、英国、米国の国別ノートは、下記ウェブサイトでご覧になれます。 www.oecd.org/health/health-at-a-glance.htm
報道関係者のお問い合わせは、下記までお寄せください。
Francesca Colombo, Head of the OECD Health Division, (tel. + 33 1 45 24 93 60)
Chris James, Senior Health Economist, (tel. + 33 1 45 24 89 69) at the OECD Health Division
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