教職の魅力を財政的にも知的にも高めなければならない

 

各国は、教職を財政的にも知的にももっと魅力あるものにして、世界的に高まる質の高い教師への需要を満たす必要があると、OECDの新報告書は述べています。

OECDの教員指導環境調査(TALIS)に基づく新報告書、「生涯学習者としての教員と校長(Teachers and School Leaders as Lifelong Learners)」によると、教職に最も優秀な人材を誘致することが、若者に将来働いて成功するために必要なスキルを与える上で不可欠です。

世界48カ国・地域の1万5000校の小学校、中学校、高等学校の教員と校長約26万人が、この第3回TALIS調査に参加しました。この調査は、教員と校長の声を聞くことで、教職の知識と技能の強化を支援してその専門技術を支援することを目的としています。

 

この結果から、教師に将来の社会の変化に対処できるようにより良い機会を与えられるようにするには、まだまだ改善すべき点があることが明らかになりました。この調査に参加したOECD諸国の教師で、授業技術の活用方法についての訓練を受けたことがある人は全体のほぼ半数程度、教職に就いた時に十分な備えができていると感じていた人は半数を下回っていました。しかし、教師の3人に2人は、これまでに参加した職能開発で最も有益なのは、授業方法におけるイノベーションに焦点を当てたものだと答えています。

ルドガー・シュークネヒOECD事務次長は、パリで行われた本報告書の発表会見で次のように述べました。「技術的、経済的、社会的変化の加速に、我々の教育制度をほぼリアルタイムに適応させる必要がある。政策当局は、教員や校長と密接に連携して、彼らの専門知識を高め、生徒の将来の成功を手助けできるようにすべきである。」

アンドレアス・シュライヒャーOECD教育スキル局長は次のように述べています。「政府は教師と校長を信頼し、どの学校でも彼らが協調的な文化を導入、浸透させるために必要な自治権を与えるべきである。また、教師と校長は、将来のニーズに応えられる学級を作るためにより良い慣行と政策の立案に参画することが重要かつ価値があるということを、もっとよく認識する必要がある。」

この調査によると、学校は、21世紀の課題に対応する上で、革新的な指導の価値を認めているようです。教員と校長の大多数は、革新的な実践手法を受け入れる用意があり、導入する能力があると回答しています。また、TALISに参加したOECD諸国の平均で、教員の78%が他の教員と協力して新しい手法を実践しているとも回答しています。しかし、欧州諸国の教員は、そうしたイノベーションに対する開放性を他の国の教員ほどは感じていません。

本報告書によると、最近の移民流入に関わる変化が学級の構成に影響を与えています。OECD諸国の教員のほぼ3分の1が、勤務先の全校生徒のうち少なくとも1%が難民であると回答し、また17%の教員は、少なくとも10%の生徒が移民であると回答しています。

校長の95%は、自身の学校の教員は、生徒や青少年が文化が異なる人々の間にも多くの共通点があるということを学ぶべきだと考えていると回答しています。教員の80%が、自分の学校ではカリキュラムにグローバルな問題を取り入れ、民族や文化に根ざした差別を解決する方法を生徒に指導していると応えています。

その他の主な結論は、下記の通りです。

 

教員の概要

教員の年齢は平均44歳で、トルコの36歳からジョージアの50歳まで幅がある。教師のほとんど(68%)は女性だが、日本は例外である(42%)。それに対して女性の校長は47%である。

 

ICTの利用

OECD諸国全体で、教職課程や訓練の一環として授業のためのICT利用についての訓練を受けたことがある教師は、全体の半数をわずかに上回る程度(56%)に過ぎない。ICTの訓練を受けたことがある人の割合が最も低いのはスウェーデン(37%)とスペイン(38%)、最も高いのはチリ(77%)、メキシコ(77%)である。

 

OECD諸国全体で、授業にICTスキルを用いるための職能開発を非常に必要だと答えいる教師は約18%である。

 

校長の4人に1人は、デジタル技術の不足や不備は、良質な授業を提供する上で障害になると答えている。

 

学級について

TALISに参加したOECD諸国においては、通常の授業時間のうち授業に当てられている時間はわずか78%で、その他の時間は秩序の維持(13%)と学級経営(8%)に充てられている。

実際に授業と学習に費やされている授業時間は、社会経済的に恵まれない生徒の割合が高い学校ほど短い。その差が特に顕著なのは、アルベルタ(カナダ)、オーストラリア、オーストリア、イングランド、ベルギーのフランドル地域、フランス、サウジアラビア、南アフリカ、米国である。

生徒と教員の関係は2008年以降、大半の国々で改善しており、生徒と教員の関係は一般的にうまくいっていると回答した教員の割合は95%に上る。しかし、校長の14%は生徒間で脅迫行為やいじめが定期的にあると回答している。

 

キャリアとしての教職

TALISに参加したOECD諸国では、教員の3人に2人が教員という職業が第1希望だったと回答しているが、それは女性教師では70%だが、男性教師の場合は59%である。

教員になった主な理由として、生徒の成長や社会に貢献する機会を挙げた教員は90%に上り、教職による安定したキャリアを重要な決め手に挙げた教員は61%に留まった。

 

職能開発

教員と校長の90%以上が、この調査の実施までの1年間に1回以上、職能開発に参加した。しかし、教員同士の協働学習は研修のあり方として影響力が最も大きいことを教員自身が認めているにも関わらず、そういった学び合いや交流に基づく研修に参加した人の割合はわずか44%だった。

教員と校長の約半数は、利用できる職能開発があっても、業務スケジュールやインセンティブの欠如が参加の足枷となっているとも回答している。

 

 

背景情報

TALIS参加国は以下の通り。アルベルタ(カナダ)、オーストラリア、オーストリア、ベルギー及びベルギーのフランドル地域、ブラジル、ブルガリア、CABA(アルゼンチン)、チリ、コロンビア、クロアチア、チェコ、デンマーク、イングランド(英国)、エストニア、フィンランド、フランス、ジョージア、ハンガリー、アイスランド、イスラエル、イタリア、日本、カザフスタン、韓国、ラトビア、リトアニア、マルタ、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポルトガル、ルーマニア、ロシア、サウジアラビア、上海市(中国)、シンガポール、スロバキア、スロベニア、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、トルコ、アラブ首長国連邦、米国、ベトナム。

各国から約200校が無作為抽出され、各学校で校長が1枚の質問票に回答し、無作為抽出された20人の教員がもう1枚の質問票に回答しました。

 

本報告書と関連のカントリーノートは、下記のサイトからダウンロードできます。 www.oecd.org/education/talis/

 

報道関係者のお問い合わせは、下記までお寄せください。

Andreas Schleicher (tel. + 33 1 45 24 93 66) in the OECD’s Education and Skills Directorate

OECD’s Media Division (tel. + 33 1 45 24 97 00). 

 

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