2019年1月15日
企業が支払う法人税は、過去20年間世界的に税率が下落傾向にありますが、依然として各国政府、特に開発途上国政府にとって重要な歳入源の1つです。
OECDの新報告書とデータベース、「法人税統計(Corporate Tax Statistics)」は、法人税収、法定法人税率、法人実効税率、イノベーション関連の優遇税制という4つの主要カテゴリーについて、世界約100カ国から集めた国際比較可能な統計と分析を収録しています。
この新たな分析によると、法人税は世界中の国々の政府にとって、依然として重要な税収源です。2016年には、データがある88カ国平均で、法人税が税収全体の13.3%を占めていました。この割合は2000年には12%でした。
法人税は開発途上国では特に重要性が高く、OECD諸国では税収全体に占める割合の平均が9%であるのに対して、アフリカ諸国では15.3%、南米・カリブ諸国では15.4%です。
法人税収は、対GDP比で見た場合でも高く、本データベースに収録されている国々の対GDP比の平均は、2000年が2.7%だったのに対して、2016年は3.0%に上昇しました。
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OECDの分析によると、企業にとって最も重要な税率である法定法人税率は過去20年間、明らかに下落傾向にあります。本データベースによると、中央政府と地方政府を併せた平均法定税率は、2000年は28.6%でしたが、2018年には21.4%まで下落しています。税率データが本データベースに収録されている94カ国のうち60%以上の国々の法定税率が、2000年には30%以上でしたが、2018年に税率が30%を上回っている国々は、20%未満です。
2000年と2018年の法定法人税率を比較すると、2018年の方が低かった国が76カ国、同じだった国が12カ国、高くなった国はわずか6カ国でした。2018年に法人税制がない、または法人税率がゼロだった国は、12カ国でした。
OECDの分析では、法人税収が多くの要因に左右されるので、法定税率に注目するだけでは誤解を招く恐れがあることが強調されています。例えば、複数の税率を導入している国々では企業とその収益の性質によって適用する税率が変わる場合があります。中小企業には累進課税を適用している場合がありますが、その企業が居住者か非居住者化によって、異なる税率を適用している場合もあります。留保、分配された利益に異なる税率を適用する国もあれば、特定産業に異なる税率を適用する国もあります。経済特区で活動する企業には低い税率を適用する例がしばしば見られ、税制優遇措置が特定企業または所得の種類に対して低い税率を適用している国もあります。
法人税収を左右するもう1つの要因は、法人税の課税ベースの定義です。OECD法人税統計のデータベースでは、法人税の課税ベースの標準構成(減価償却、法人自己資本控除制度のような関連の規定)が、納税者の実効税率をどの程度下げるかを評価しています。
本データベースによると、こうした措置を考慮に入れると、将来的な実効税率は一般に法定税率より低く、その差の平均は本データベースの分析対象となった74カ国において、2017年は1.1ポイントでした。研究開発費や知的財産所得などに対する税制優遇措置は、特定の活動に対する法人税負担を減らすために広く用いられています。
OECD法人税統計のデータベースは、法人税制の研究を支援し、OECD/G20 税源浸食と利益移転 (BEPS)イニシアチブの元で行われる分析に利用できる統計情報を質量ともに拡充することを目的としています。2015年にOECDは、税源浸食と利益移転が法人税の課税ベースに深刻な影響を及ぼしており、それによる政府の歳入喪失額は、1000~2400億米ドル(2014年の値)、法人税収の4~10%に上ると推計しました。
本データベースは毎年更新され、BEPSの測定と監視を改善することを目指しています。今後は、BEPS Action 13で実施されている国別報告で集められたデータの集約、非特定化された統計など、新しいデータが収録される予定です。それによって、企業が実際に支払う実効税率を過去に遡って評価することができます。
本報告書は、以下のサイトで公開しています。
https://oe.cd/corporate-tax-stats
詳しくは、下記までお問い合わせください。
Lawrence Speer in the OECD Media Office (+33 1 4524 9700).
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