March 21, 2017
最新の『対中経済審査報告書 (OECD Economic Survey of China 2017)』によると、中国経済は成熟して、やや鈍化していますがより持続可能な成長の軌道に乗っており、今後の政策はより効率的で安定的で包摂的になよう目を向けるべきです。
中国では1人当たりのGDPが順調に伸び続け2020年までに2010年の水準にほぼ2倍に達すると見られ、まだしばらくは引き続き世界経済を牽引すると、同報告書は予測しています。投資から消費へと経済のリバランスを継続し、高い水準にある企業の負債、生産能力の過剰、住宅価格の高騰といった主なリスクに取り組むよう提言を行っています。
アンヘル・グリアOECD事務総長は次のように述べています。「過去数十年にわたり驚異的な成長を遂げた中国が、今注目すべきはその成長をより回復力のある持続可能で社会に行き渡る包摂的なものにし、安定性を脅かすリスクに対処することである。中国経済はこれからは物質的な投資を減らしてイノベーションを増やし、レバレッジを解消し、そして何よりも環境にもっと配慮すべきである。」
金融リスクは、企業の負債の増加と、いくつかの部門における過剰設備、さらに不動産価格の高騰を背景に高まっています。中国の非金融企業の負債は、国有企業と公共事業体に対する国の暗黙の保証によって増大し、2016年には対GDP比170%に達し、先進諸国中最も高い水準になりました。企業負債の3分の2は、国有企業の負債です。金融リスクへの対処方法には、国有企業への暗黙の保証を段階的に取り除くこと、資本市場におけるレバレッジ投資を禁止することなどがあります。
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本報告書は、2020年までに「小康社会」を実現するという中国の目標に沿ったさらなる構造改革も提案しています。
税・移転制度によって所得不平等を他の先進諸国より削減します。例えば、多くの低所得世帯では、社会保障費が所得に占める割合がより裕福な世帯よりも高くなっています。本報告書は実質所得に対する社会保険料を基準にしつつ、さらに個人所得税源を拡大し累進課税を高めることを提案しています。
質の高い教育の受けやすさという点でも、大きな格差が存在しています。本書は育児への公的支出を増やし、農村の子供の早期幼児教育への参加を奨励すべきだと強く訴えています。また、中央政府と省政府の社会扶助をより貧しい地域により多く移転するべきだとも主張しています。
さらに、研究開発助成は現在はハイテク産業に過度に偏っていますが、その対象となる部門を広げてイノベーションを国の経済全体に拡大し、持続可能な成長を維持することもていあんしています。中国は特許数ではすでに世界第一位ですが、インセンティブ制度を整備し、規制障壁を取り除くことで、イノベーションが生産性に及ぼす影響を高めることができるでしょう。
本報告書の概要(Overview)と主な結論は、以下のウェブサイトでご覧いただけます。
www.oecd.org/china/economic-survey-china.htm.
報道関係者のお問い合わせは、下記までお寄せください。
Catherine Bremer (+33 603 483456) / OECD Media Office (+33 1 4524 9700).
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