2014年11月11日、OECDインドネシア・ジョグジャカルタ 発
東南アジアでは、経済成長の実現のために石油、ガス、鉱物、木材などの天然資源に過度に依存しています。この度OECDが発表した「東南アジアのグリーン成長」によると、こうした状況は環境破壊を引き起こしているだけでなく、将来的に見ても持続不可能であり、適切な対策が打たれない限り、今後の成長に悪影響を及ぼすことになります。
本報告書によると、東南アジアでは天然資源からもたらされる富の割合が全体の20%を超えています。これはOECD加盟国平均の2%に比べて高い比率になっています。またブルネイ、インドネシア、タイ、ベトナムを中心に、天然資源の荒廃もますます進行しています。
化石燃料への依存も汚染の深刻化を引き起こしており、これは医療費の増大、平均寿命の低下につながる恐れがあります。このほか、気候変動に対する脆弱性も、環境に配慮したグリーン成長モデルへの改革が強く求められるもうひとつの要因です。
玉木林太郎・OECD事務次長は、インドネシア・ジョグジャカルタで開催された「アジア低排出開発戦略フォーラム」で本報告書を発表し、「東南アジアの現在の成長モデルは持続不可能である。インフラ基盤の近代化・強化はグリーン成長への転換を図る絶好の機会といえる。明確で予測可能な政策を打ち出すことで、環境保全と長期成長の両立を可能にするグリーン・インフラ・プロジェクトに官民の資金を呼び込むことができるだろう」と述べました。
OECDのモデルでは、気候変動による東南アジアのGDPの損失割合は、農業生産高の減少や海面の上昇などにより、2060年までに5%を超えると推計されます。沿岸都市における洪水は既に年間平均で何億ドルもの経済損失を引き起こしており、2050年までにはその額も年に60億米ドルに膨らむと予想されます。
気候変動により2060年までに経済生産高減少が予測される GDPの増減率(ベースライン比) |
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出典:OECD |
東南アジアでは経済が急成長を遂げましたが、その結果、大気や水質の汚染が進んだほか、森林や表土が荒廃し、沿岸を洪水から守るマングローブも消失しました。多くの国ではWHOのガイドライン値を大幅に上回る大気汚染が広がっています。
東南アジアでグリーンエネルギーの導入が遅れているのは、再生可能エネルギーよりも化石燃料を重視するエネルギー政策と補助金制度にも原因があると報告書は指摘しています。農業、林業、鉱業、都市輸送に対する環境投資を増やすことで、エネルギーの節約、天然資源の保護につながることが期待されます。
本報告書の詳細はこちらをご覧ください。報道関係者のご質問は、OECD東京センター川口(+81 3 5532 0021, +81 90 8644 3546)までご連絡ください。
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