変化する労働環境の課題に人々が対応できるように早急に対処すべき

 

OECD―2019年4月25日

政府は、経済社会的緊張を削減するべく、雇用と仕事へのアプローチを全面的に見直す必要があります。早急に対応しないと、多くの人々、特に低技能労働者が急速に変化する労働環境のなかで取り残されることになります。

 「OECD雇用アウトルック2019(OECD Employment Outlook 2019)」は、OECD「仕事の未来」イニシアチブと"I am the Future of Work"キャンペーンの一環として出版されます。このキャンペーンは、仕事の未来があらゆる人々によりよく働くようにすることを目的とし、学習制度、社会保障制度の変革と人々及び地域間にある不平等の削減の一助となるものです。 

 アンヘル・グリアOECD事務総長は、ベルリンで開催された記者発表にHubertus Heilドイツ連邦労働担当相とともに出席し、次のように述べました。「OECD雇用アウトルックは、仕事がなくなる未来を想定しているわけではないが、仕事の未来には大きな課題があることは予測している。正しい政策を取れば、こうした問題を管理することができる。我々は大きな変革に直面しているが、我々にはチャンスがあり、この時を利用してあらゆる人が恩恵を受けられる仕事の未来を構築する決意を持っている。」

 OECD地域全体で、金融危機の間に失われた雇用が完全に回復し、現在の雇用率は危機前を2%ポイント上回っていますが、世界経済が減速するという見通しが、短期的な雇用見通しに影を落としており、また労働市場の二極化が進んでいます。OECDは、労働者、企業そして各国がこの変化する労働環境に適応できるように、本報告書の中で「あらゆる人に有効な未来のための移行計画(Transition Agenda for a Future that Works for All)」を提案しています。

 ほとんどのOECD諸国で見られる雇用率の改善を後押ししているのは、仕事を持つ女性の割合と、働き続ける高齢者の割合が大幅に上昇したことです。さらに、雇用増の大半を占めているのは高技能を要する仕事の数が増えたことで、その割合は過去20年間でOECD諸国全体で25%上昇しています。

 しかし、多くの国々で、高等教育を修了していない若者の失業率が高まっており、また仕事には就いていても非正規雇用や低賃金の雇用に就かざるを得ない人の割合も上昇しています。一部の国々では、男性の失業者、非正規雇用者数が増加していますが、女性の労働市場における成果は平均的に見て男性より依然として悪い状態にあります。

 デジタル転換、グローバル化、人口動態の変化によって、労働環境はすでに再編されています。今後15~20年で、既存の職業の14%は自動化の結果消滅し、32%は根本から変化する可能性があります。

 ほとんどとは言えなくとも多くの雇用は、将来的にもフルタイムの正規雇用だと見られていますが、ここ数年で、自営業や有期雇用契約といった非正規の働き方が台頭してきました。パートタイム雇用は、過去30年ほどの間に全てのOECD諸国で実質的に増加しました。フルタイムを希望しながらパートタイムの仕事に甘んじている人の割合も、データのあるOECD諸国の3分の2にあたる国々で上昇しています。

 上記の移行計画では、雇用保障、社会保障、生涯学習、社会的対話という4つの主要分野に焦点を当てるよう、各国に提言しています。

 そこで強調しているのは、労働者の雇用条件にかかわらず、労働法による適切な保障を提供することが重要だということです。各国政府は、雇用主が脱税や規制逃れのために利用することがある見せかけの自営業の問題に対処し、給与労働者と自営業者の間の「グレーゾーン」を小さくし、その範囲に入る労働者の権利を拡大する取り組みを行う必要があります。

 非正規労働者をより良く包摂できるように、社会保障を見直し、拡張することが不可欠です。一部の国々では、非正規労働者は失業したときの所得支援を受けられる可能性が、正規雇用者よりも40~50%低くなっています。給付金受給権は転職しても移行できるようにし、また的を絞った社会保障措置をより普遍的で無条件の支援で補完すべきです。

 OECD加盟国のどこでも、研修の参加率が最も低いのは、低技能労働者や高年齢労働者、非正規労働者など、研修を最も必要とする人たちです。成人学習プログラムを全面的に見直し、その対象範囲の拡大や質の改善を図ることが、労働環境の変化の便益を生かす上で不可欠です。その方策としては、訓練に参加するための時間的、資金的制約を取り除くこと、転職しても訓練を受けられるようにすること、良質な情報とカウンセリングを提供することなどが含まれます。

 OECD諸国では、労働組合の組合員数は過去30年間徐々に減少しており、1985年には30%の労働者が加入していましたが、2016年には16%になりました。それによって労働者の交渉力が弱くなり、労働者が手にする国民所得の割合の下落につながっています。労働組合に加入する人の割合は非正規労働者ではさらに低く、正規労働者の半分程度です。団体交渉や社会的対話への参加権を正規雇用者以外にも拡大すべきです。

 本報告書は、OECD「仕事の未来」イニシアチブと"I am the Future of Work"キャンペーンの一環として出版されます。このキャンペーンは、学習制度、社会保障制度を変化させ、人々の間及び地域間にある不平等を削減する一助となるよう、仕事の未来を明るい方向へと転換させることに寄与することを目的としています。詳しくは、下記のウェブサイトをご覧下さい。http://futureofwork.oecd.org

 

日本語サマリーはこちらからお読みいただけます。

 

報道関係者のお問い合わせは、下記までお寄せください。

Spencer Wilson in the OECD Media Office (+33 1 4524 8118).

 

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