多くの生徒と学校のオンライン学習に関する課題が明らかに−OECD PISA新報告書

 

OECD ― パリ、2020年9月29日

新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、世界中で学校が閉鎖され、多くの国々では教師も生徒もオンラインでの授業と学習に早急に適応しなければなりませんでした。しかし、OECD PISAの新報告書によると、学校におけるテクノロジーの利用可能性と教師のICTを有効活用する能力に関して、各国間及び各国内に大きな差があることが明らかになりました。

「有効な政策と成功する学校(Effective Policies, Successful Schools)では、79カ国・地域の15歳の生徒約60万人が参加した最新のPISA2018調査結果を分析しています。

2018年のOECD諸国平均で、学校で教育目的に利用できるコンピュータの台数は、15歳の生徒1人当たりほぼ1台でした。しかし多くの国々で、校長はそのコンピュータが能力不足であると答えており、その影響を受けている生徒は世界全体で3人に1人ということになります。

アンドレアス・シュライヒャーOECD教育スキル局長は次のように述べています。「今回の危機によって、世界中の教育制度における多くの不十分さ、不平等が明らかになった。恵まれない環境にいる若者が特に影響を受けており、各国は、全ての学校が必要とする資源を手にし、全ての生徒が平等に学習の機会と成功のチャンスを得られるように取り組むべきである」

恵まれた学校と恵まれない学校との間には大きな差があります。ブラジルでは、校長の回答によると、恵まれた学校の生徒の68%が充分な能力のあるデジタル端末を利用できているのに対して、恵まれない学校ではその割合は10%に過ぎませんでした。スペインではこの差は40ポイントでした(恵まれた学校の生徒の70%に対して、恵まれない学校の生徒は30%)。

教師のテクノロジー活用能力にも大きな差があります。OECD諸国平均で、校長が自分の学校の教師にはデジタル端末を指導に取り入れるのに必要なテクノロジーと指導のスキルがあると答えている学校に所属する15歳の生徒の割合は、65%でした。この割合は、社会経済的に恵まれた学校と恵まれない学校とで大きな差があります。例えばスウェーデンでは、このような学校に所属している生徒の割合は恵まれた学校では89%であるのに対して、恵まれない学校ではわずか54%でした。

OECD諸国平均で、校長が自分の学校の教師にはデジタル端末を授業に取り入れる準備をする十分な時間があると答えた学校に所属している生徒の割合は約60%でした。この割合が最も高かったのは、PISA2018調査に参加した中国の4地域・都市で90%近く、最も低かったのは日本で、10%をわずかに上回る程度でした。

中には、自宅で学習するための基本条件すら満たせない生徒もいます。OECD諸国平均で、15歳の生徒の9%は自宅に静かに学習できる場所を持っていません。PISA調査で上位の成績を上げている韓国ですら、全学校中最も恵まれない下位25%の学校の生徒の5人に1人は、自宅に学習するための場所がないと答えています。この割合は、恵まれた学校の生徒では10人に1人でした。

本報告書では、学校政策と公平性に関するその他の主要な側面についても比較しています。総じて、PISA2018調査結果からは、教育に関わる人材とデジタル資源を含む物理的資源の不足という点で、恵まれた学校と恵まれない学校とに大きな差があることがわかります。PISAによると、パンデミック以前から、多くの学校は資源不足に悩まされていました。OECD諸国平均で、校長が教員の欠員によって学習が妨げられていると報告している学校に所属している生徒の割合は27%で、教員不足の報告が恵まれない学校の校長(42カ国・地域の教育制度)と、公立学校の校長(上記とは別の42カ国・地域の教育制度)からより多く報告される傾向がありました。44カ国・地域の教育制度では、校長が報告した教職員の不足の度合いが大きいほど、生徒の読解力の点数が低くなっていました。

出自にかかわらず全ての生徒に公平な学習機会と学校での成功のチャンスを与えようとするならば、どの学校も適切で良質な資源と適切な支援を得られるようにすることが重要であると、本報告書は述べています。

また、本書からは、教育における成功の基礎が非常に早い段階で築かれることもわかります。幼児教育に長く参加した生徒の方が参加しなかった生徒よりも、PISA調査において良い点数を出していました。2015年から2018年の間に、幼児教育に3年間参加していた15歳の生徒の割合が28カ国で上昇しました。このような進歩にもかかわらず、比較可能なデータがある78カ国・地域のうち68カ国・地域の教育制度で、幼児教育に参加しなかった生徒は社会経済的に恵まれない出自である場合が圧倒的に多く、彼らは15歳時点で恵まれない学校に所属していました。このことは、幼児教育への参加・不参加がいかに教育格差を助長しているかを示しています。幼児教育を拡充するには、その利用性から質へ、また保育から教育への移行に力を入れなければなりません。

本報告書は、以下のサイトからダウンロードできます。

http://wx.oecdcode.org/735jlYc9

報道関係者のお問い合わせは、下記までお寄せください。

Spencer Wilson in the OECD Media Office (tel. + 33 1 45 24 81 18).

 

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