福島原子力発電所事故後5年の原子力安全

 

NEA/COM(2016)1
Paris, 29 February 2016

日本語(仮訳)

 福島原子力発電所事故後5年の原子力安全

OECD原子力機関(NEA)は、新たなレポート「福島原子力発電所事故後の5年:原子力安全の改善と教訓」を発表した。

このレポートは、原子力の安全性を向上させるとともに2011年3月の事故から得られた教訓を実行していくために、NEA及びNEA加盟国によって国レベル、国際レベルで行われた活動に焦点を当てている。また、一連の結論といくつかの残された課題を提示している。

NEA事務局長ウィリアム D. マグウッド, Ⅳ世は、このレポートに関し、「福島の悲劇があったものの、事故から得られた教訓を踏まえ、NEA加盟国の規制機関は自国の原子力発電所が引き続き安全に稼動していると考えている。」と述べている。また、自然事象への対応や防災のために行われてきた取組について、「福島の大きな教訓は、私たちはすべての自然事象を予測できるわけではないということである。しかしこのレポートが示すとおり、事故から学んだ教訓をもとに、原子力発電所は5年前に比べてより強靭なものとなり、予期せぬことにもよりよく備えられるようになってきている。」と話している。

このレポートの作成を主導してきたNEA原子力規制活動委員会(CNRA)の議長であるジャン-クリストフ ニエル フランス原子力安全機関(ASN)長官は、国際協力が原子力安全を継続的に改善していくための重要な要素であると強調し、「NEAの活動は、知識や経験を共有し、また原子力規制体制や原子力発電所の安全をより向上させるための効果的な手法を明らかにし実行するために協働するフォーラムとして世界でトップレベルの各国の専門家を結集することである」と述べている。またニエル長官は、「原子力の安全確保において、事業者が一義的な責任を十分に果たすこと、規制機関の独立性及びステークホルダーの関与が重要である」ことを強調している。

マグウッド事務局長は、事故以降、NEA加盟国は安全性の向上に向けて大幅に前進しており、現在も更なる進歩を続けているが、まだなすべきことがあると指摘する。原子力の安全確保に関する人的側面の取り組み、例えば事業者と規制機関に安全文化を根付かせることや、NEAの国際共同研究プロジェクト等を通じた安全研究から引き続き学んでいくことが必要である。また、「原子力の安全確保は、運転の経験と研究を通して学ぶ中でさらに進化していく継続的なプロセスであるということを心に留めておくことが重要である。単に福島で何が起こったかということだけではなく、事故に対してどのように対応したかということも含めて学ぶことが必要である。」と強調している。

背景

2011年3月の福島第一原子力発電所事故以降、OECD原子力機関(NEA)はNEA加盟国及び協定国との緊密な協力の下、得られた教訓と国レベル及び国際レベルでとられた対応策を明らかにしてきた。2013年には、NEAは「福島第一原子力発電所事故:OECD/NEA原子力安全の対応と教訓」と題したレポートを発表し、同事故に対してNEAとNEA加盟国が直ちに行った主要な対応を詳しく紹介した。2013年レポートの主要な結論においては、NEA加盟国が自国で稼動中の原子炉の重点的な安全レビューを行い、安全に稼働を続けることができることを確認するとともに、より包括的な安全レビューが実施されていることが指摘されていた。また、強固な安全文化を根付かせることの重要性、特に、問いかけや学びの姿勢を持ち続けることによって、高いレベルの安全基準及びその運用を継続的に向上させていくことが強調されていた。

それ以降、NEAとNEA加盟国によって原子力エネルギーの安全利用のための科学的・技術的・法的な基盤を維持し、さらに向上させるための多くの取組が行われてきた。多くのNEA加盟国の規制機関は、新たな規制要求の設定に取り組んできた。外的ハザードの潜在的な影響は、そうした規制要求が重視する点であり、機器の多様性の確保に係る改善、安全機能の頑健性の向上及び原子力安全の人的側面に関する継続的な取組が求められている。

NEAの31の加盟国は、世界中で最も経験があり技術的にも先進的な原子力の基盤を有する国々である。現在及び将来の原子力の安全確保に向けた活動は、継続的な取組であり、NEAにおいて最も優先度の高いものである。原子力安全分野におけるすべてのNEAの活動は、原子力規制活動委員会 (CNRA)原子力施設安全委員会 (CSNI)放射線防護および公共保健委員会 (CRPPH)原子力法委員会 (NLC)といった、各国の原子力安全分野の専門家とリーダーの集まる常設委員会において行われている。

現在多くの活動や改善の取組が行われているが、福島第一原子力発電所事故を受けて原子力発電所で行われている安全性の向上に向けた取組は、長期にわたる努力の一部であり、これは、各国が継続的に情報及び教訓を共有することによって進化し続けるものであることに留意しなければならない。原子力安全と放射線安全に取組んでいるNEAとNEA常設委員会は、安全の確保をさらに前に進めていくためにNEA加盟国を支援し、奨励する重要な役割をこれからも果たしていくだろう。

 

関連リンク

Five Years after the Fukushima Daiichi Accident: Nuclear Safety Improvements and Lessons Learnt

日本語要約:「福島第一原子力発電所事故後の5年-原子力安全の改善と教訓」

Webcast of the press conference

2013 NEA report The Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant Accident: OECD/NEA Nuclear Safety Response and Lessons Learnt

Nuclear safety technology and regulation at the NEA

OECD Nuclear Energy Agency (NEA)

 

連絡先

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