雇用の回復は、2015年も弱い

 

2014年9月3日


ほとんどのOECD諸国で、失業率は2014年後半から2015年にかけて徐々に下がるものの、2015年も金融危機以前の水準を上回る見込みだと、OECD雇用アウトルック2014は述べています。

それによると、OECD地域全体の平均失業率は今後18か月で漸減し、2014年半ばの7.4%から2015年末には7.1%になります。これはほぼ4,500万人が失業していることになり、金融危機前よりも1,210万人多い状態です。世界全体で見ると、推定で2億200万人が失業しており、それより多くの人々が低賃金の不安定な職に就いています。

本アウトルックでは、金融危機が賃金に及ぼした影響も分析しています。実質賃金の伸びは、2009年以降実質的に停滞した状態にあり、ギリシャ、ポルトガル、アイルランド、スペインを含むいくつかの国々では、実際は年平均2~5%程度減少しました。
この減少は、所得配分全体で一様に見られます。しかし、実質賃金の低迷、あるいは減少は、低賃金労働者に厳しい状態を強いる結果となると、この報告書では警告しています。

「賃金カットは、経済危機前には雇用の喪失を防ぎ、巨額の債務を抱える各国の競争力を回復する役に立ったが、それが続くと逆効果となり、雇用創出にも需要増にもつながらない」と、アンヘル・グリアOECD事務総長はパリで開かれた本アウトルックの発表で述べました。「主要な新興諸国を含む世界各国政府は、経済成長の強化に注力しなければならないが、その最も効果的な方法は構造改革を通じて財とサービスの市場における競争力を拡大することである。これが投資、生産性、雇用、所得、そして人々の幸福を高めることになる。」

 

政策当局は、さらなる賃金調整の影響が低所得者に集中しないよう、注意しなければなりません。これは、ドイツや米国など、金融危機の後失業率が急速に下がっている国にも言えることです。ドイツと米国では、低所得者の割合がOECD平均を上回っており、それぞれ労働者の5分の1および4分の1を占めています。

法定最低賃金および在職給付は、低賃金労働者の収入を支えるもので、OECD加盟26か国といくつかの新興諸国ですでに導入されているか、まもなく導入されます。

長期失業者数はピークに達しましたが、未だに大きな問題であると、雇用アウトルック 2014は述べています。2014年第1四半期には、金融危機が始まった時期のほぼ2倍に当たる1,600万人を上回る人々―失業者の3人に1人―が、12か月以上失業した状態にありました。

金融危機の打撃を最もひどく受けた国々、中でも南欧諸国では、これが構造的失業につながっており、経済成長の回復によっても自動的には解消されないとOECDは警告しています。政策当局は、求職活動と訓練プログラムを個々のニーズに合わせることで長期失業者を雇用の場に戻す取り組みを優先すべきです。

本アウトルックでは、雇用の質、特に所得水準と分配、雇用の安定、労働環境の質を検証するための新たな枠組みも収録しています。それによると、諸国間および異なる社会経済グループ間で大きな違いがあり、若年の低技能労働者の雇用の質がより低いことが明らかになります。しかし、雇用の数と質との間にトレードオフがあるという証拠は見いだせません。

本アウトルックでは、雇用の質の重要な側面の1つが、雇用契約の安定性であるということを強調しています。特に、正規労働者と非正規労働者の間にある雇用保護格差に対処する取り組みが必要とされています。非正規の職は、正規雇用に自動的にはつながらないことがしばしばあります。欧州では、3年後に正規雇用契約に移行できたのは、非正規雇用者の半数以下だったという例があります。

本アウトルックによると、この分野で改革に取り組み始めた国がいくつかあります。成果を出すには時間がかかるので、これらの国々は最後までやり遂げることが重要です。また他の国々はそれに追随すべきです。新興諸国では、非公式雇用が大きくのしかかっており、公式部門において適切に保護された雇用創出を促進しつつ、社会保障の範囲と対象を拡大する努力が求められています。

2015年の失業率の見通しは国によって大きく異なり、下落しているとはいえスペイン(24%前後)とギリシャ(27%前後)では非常に高い状態が続きます。ユーロ圏では、2014年半ばの11.6%から2015年末には11.2%まで下落しますが、10%を上回る国は、イタリア、ポルトガル、スロバキア、スロベニアです。失業率が2015年末までに5%を下回るのは、オーストリア、ドイツ、アイスランド、日本、韓国、メキシコ、ノルウェー、スイスです。

 

>> 日本に関する資料(日本語)


 

OECD Employment Outlookについての詳細は、以下のウェブサイトをご覧ください。 www.oecd.org/employment/emp/oecdemploymentoutlook.htm
ジャーナリストのお問合せ先: OECD’s Media Division (tel. + 33 1 45 24 97 00) 又はOECD東京センター 川口 尚子 (naoko.kawaguchi@oecd.org 03-5532-0021)まで。

 

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