世界経済の回復への道のりは綱渡り―OECD Economic Outlook

 

2020年6月10日

コロナウイルスのパンデミックは、過去100年で最悪の不況を引き起こし、人々の健康、雇用、暮らしに甚大な損害をもたらしていると、最新のOECDエコノミックアウトルックは述べています。

経済活動への制限は緩和されていますが、経済回復への道のりは依然として定まらず、感染の第二波に対して脆弱です。医療制度の強化とコロナウイルス後の世界に人々と企業が適応できるよう支援することが不可欠です。

ほとんどの国々の政府が導入した封鎖措置はウイルス拡散のスピードを鈍らせ死亡率を下落させるために必要でしたが、多くの産業部門で企業活動が停止し、多方面で経済的苦痛を強いる結果となりました。

政策当局は、医療制度と人々の所得を支援すると同時に企業を支援し金融市場を安定化させるために、異例の措置を幅広く用いています。

今年中にワクチンが広く利用できるようになる可能性はほとんどなく、先の見通しが全く立たない中で、OECDは通常とは異なるステップで2つの、どちらも同程度に起こりうるシナリオを示しています。一つ目は、ウイルスが制御可能になるというシナリオ(感染拡大の単発シナリオ)、もう1つは2020年末までに世界的に第二波が襲来するというシナリオ(双発シナリオ)です。

もし第二波が襲来して再びロックダウン措置が採られると、世界経済の生産額は今年は7.6%も急落し、2021年に2.8%回復すると予測されています。そのピーク時には、OECD諸国全体の失業率は感染発生前の2倍以上になり、来年も雇用情勢はほとんど回復しないでしょう。

感染の第二波が避けられたとしても、世界全体の経済活動は2020年は6%の落ち込みとなり、OECD諸国の失業率は2019年の5.4%から9.2%に跳ね上がると予測されています。

欧州諸国では、厳格かつ比較的長期に及んだロックダウンの経済的影響が特に厳しく、ユーロ圏のGDPは、もし第二波が襲来すれば(双発シナリオ)今年は11.5%の急落、第二波を避けられた(単発シナリオ)としても9%以上の落ち込みになると予測されています。その一方で、米国のGDPは双発シナリオでは8.5%、単発シナリオでは7.3%の下落、日本は前者の場合7.3%、後者の場合6%の下落になる見込みです。ブラジル、ロシア、南アフリカなどの新興諸国にとっての大きな課題は逼迫する医療制度で、商品価格の暴落がその困難をさらに深刻化させており、双発シナリオの場合の経済の落ち込みは、ブラジルが9.1%、ロシアが10%、南アフリカが8.2%となり、単発シナリオの場合には、それぞれ7.4%、8%、7.5%の落ち込みになると見られています。中国とインドのGDPは比較的影響が少なく、双発シナリオの下落幅はそれぞれ3.7%と7.3%、単発シナリオではそれぞれ2.6%、3.7%になると予測されています。

 ©OECD

いずれのシナリオでも、始めは急速に回復しますがパンデミック以前の水準に生産額が回復するまでには長い時間がかかり、この危機は生活水準の低下、失業率の上昇、投資の弱体化という長期にわたる爪痕を残すとみられています。観光業、接客業、娯楽産業など最も影響が深刻だった産業における雇用喪失で、特に低技能労働者、若者、インフォーマル労働者が打撃を受けています。

本アウトルックによると、深刻な影響を受けた産業の就労者と企業に対する政府支援を発展させるだけでなく、引き続き十分な支援が必要です。

スペインの副総理兼財務大臣のナディア・カルビニョ氏が議長を務める、パンデミックへの政策対応を議論するためのOECD特別閣僚会議で、アンヘル・グリアOECD事務総長は次のように述べました。「現状の不確かさは明らかに極端だが、それがマクロ経済政策にもたらす意味合いは対称的ではない。政策当局が緊急措置を早急に導入したことは正しかった。今度はそれを拙速に解除しないようにすべきである。

「政府の今日の行動が今後数年間のコロナ後の世界を形成する。このことは、各国が正しい政策で回復力のある包摂的で持続可能な回復を促進できる国内だけでなく、国際社会がともに世界的な課題に取り組むという点でも当てはまることである。国際協力は、政策対応という点ではこれまで弱点であったが、それこそが信頼を醸成し、重要なプラスの波及効果をもたらすことができる」

本アウトルックの発表を行ったローレンス・ボーンOECDチーフエコノミストは次のように述べています。「回復に向けた綱渡りには、桁外れの政策が必要である。経済活動を再開しつつ第二波を避けるには、柔軟で機敏な政策策定が求められる」ボーン氏は、深刻な打撃を受けた産業部門に現在提供されているセーフティネットと支援を、企業と労働者が新たな活動へと移行するのを助けるようなものに変化させる必要があると述べています。

「公的債務の増加は避けられないが、負債に頼る支出は、最も脆弱な人々と産業への支援と、より回復力のある持続可能な経済への移行に必要な投資に的を絞るべきである。

「政府はこの機会により公平な経済を築き、競争と規制をよりスマートなものにし、税制、政府支出、社会保障を近代化しなければならない。繁栄は、対話と協力によってもたらされる。これは各国内でも国際社会においても当てはまることである」

本アウトルックは、国際協力を強化してパンデミックを早期に終息させ、経済活動を加速させるとともに、新興市場諸国と開発途上国の巻き返しを阻害しないように呼びかけています。また、備蓄の増強や、地域的、国際的な供給元の多様化を含むサプライチェーンの強化についても論じています。

 

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OECDエコノミックアウトルックとパンデミックへの政策対応についてのOECDの活動の詳細は、こちらのウェブサイトをご覧下さい。

 

 

 

 

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