2012/11/9
最新のOECD報告書によると、今後50年、躍進を遂げる新興経済が世界のGDPの大部分を占めることとなり、世界経済のパワーバランスは劇的に変わることが予測されます。
これまで私たちが慣れ親しんだパターンとは異なる長期的経済成長を辿ることで、各国経済の世界に占める割合は大きく変化することになります。現在トップに君臨する米国は、早くて2016年にも中国に追い超され、いずれはインドにも追い越されるでしょう。さらに中国とインドを合わせれば、まもなくG7全体の経済力をも追い超し、2060年にはOECD加盟国全体を追い越すことが予測できます。急速な高齢化が進むユーロ圏や日本といった現在の経済大国は、若年層が人口を占める新興経済のインドネシアやブラジルのGDPに圧倒されることになります(グラフ参照)。
"Looking to 2060: Long-term global growth prospects(2060年までの長期経済成長見通し)"は、OECD加盟34カ国及び非加盟の主要経済8カ国を対象とした新しい長期経済見通しを提示しています。同報告書は、加速する成長を続ける新興国と、それに反して減速していく先進国との差は拡大するとしつつも、世界全体としては年率3%の経済成長を予測しています。各国の一人当たりGDPの差異は主に技術レベルや資本集約度、人的資源やスキルにおける違いを反映するものとなります。
アンヘル・グリアOECD事務総長は、「世界経済は、過去5年間経験してきた経済危機をやがて克服するが、私たちの子孫が暮らす将来はこれまでとは全く異なったものになるだろう。現在急成長しているる新興経済国が世界経済の重きをなすこととなるため、私たちは世界全体の持続可能な繁栄を確保するために新たな挑戦に立ち向かうことになる。教育と生産性は今後の経済成長に向けた牽引力となるため、世界全体でこれらの分野の政策が優先されるべきである。」と述べました。
長期的な経済パワーバランスの移行は、各国の生活水準の向上にもつながるため、2060年までに貧困国は4倍以上の所得増大が期待できます。中国及びインドに関しては、所得は7倍も増加することが予測されます。これにより、2060年までに新興国と先進国の現在の経済格差は狭まる一方、各国間の格差は依然として残ることになります。
グリア事務総長は「この見通しは動かしがたいものではない。大胆な構造改革を講じれば、先進国でも新興国でも長期的な経済成長及び生活水準の向上を導き出すことが出来る。」と述べました。
OECDの調査は、労働・生産市場の広範な改革を進めれば、今後50年間に世界全体で平均16%の生活水準の向上が期待できると示しています。
「2060年までの長期経済成長見通し」の詳細情報についてはこちらをご覧ください。
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