Economic surveys and country surveillance

東北地方太平洋沖地震:経済的影響

 

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は、日本における観測史上最大の地震であり、戦後最悪の惨事をもたらした。この惨事により亡くなられた方々のご冥福をお祈りすると共に、被災者の方々にお見舞い申し上げます。

 

地震による影響を最も受けた4つの県(岩手、宮城、福島、茨城)は、日本の人口及び経済の6から7%程度を占めている。地震及びその後の津波による破壊の被害は非常に大きく、現時点で経済への影響を見積もることは不可能である。このような災害は、有形固定資産や人命を損なうことなどを通じて潜在成長を押し下げる。例えば、1995年の阪神・淡路大震災は、GDP比2%程度と見積もられる被害をもたらした。阪神・淡路大震災の被害を受けた地域は、GDPのシェアでみると、東北地方太平洋沖地震による被害を受けた地域とおおよそ同程度である。それにもかかわらず、地震の激しさとそれに続く津波の影響を考慮する場合、3月11日の地震による影響はより甚大なものであるかもしれない。加えて、日本では、断続的な余震が続いている。

 

特に、地震と津波は、電力の多くを依存する東北地方にある原子力発電所に深刻な被害を与えた。一部の原子炉での過熱を食い止める措置により、発電所が使用できない状態になるかもしれない。日本国内における原子力発電容量の推定5分の1程度が、地震発生以降少なくとも一時的に停止され、電力供給不足をもたらしている。関係当局は、本州の東半分の地域において、3月14日より、少なくとも数週間程度の計画停電を実施することとしている。

 

電力不足、及び地震と津波による被害の修復の必要性は、自動車、電気製品を含む多くの工場に一時的な操業停止を強いている。地震による副次的な影響は、製造部品不足などを理由に、日本の他の地域や海外に広がるかもしれない。結果として、3月の鉱工業生産は落ち込み、4月には更に弱まるであろう。

 

東北地方太平洋沖地震は、日本経済が2010年終わりにかけての一時的な足踏み状態から脱却していると見られていた中で起こった。地震は短期的には経済活動を押し下げる一方で、それに続く復興策は経済成長を押し上げる傾向がある。政府は、復興策に関する議論を開始している。現在のところ、その財源は、2010年度予算における予備費の残りである0.2兆円(GDPの0.04%程度)及び2011年度予算における1.1兆円(GDPの0.2%程度)の予備費に限られているように見られるが、復興策を賄うための補正予算が利用可能な財源を拡大するであろう。例えば、阪神・淡路大震災の影響を受け、国は、5兆円程度(GDP(1995年時)の1.0%程度)の支出を行った。

 

3月14日における日本銀行の金融政策決定会合において、潤沢な資金供給を行うとともに、資産購入の規模を2010年10月に導入された5兆円から10兆円(GDPの2%程度 )に増やすことが決定された。また、日本銀行は、地震による金融市場や金融機関への影響も注視している。株価は、日経平均株価指数が16%程度低下するなど、3月11日以降下落している。海外投資家による売却は、ことによると日本の保険会社による外国資産のリパトリエーションを反映したものと思われる当初の円への増価圧力を反転させることに寄与しているかもしれない。

 

OECDは、今後日本の関係当局と密接に連携していく、また、経済への地震の影響を評価することや必要となる政策対応の決定に関する支援を含め、この困難な時期に可能な限り日本を支援する準備ができている。

 

2011年3月15日、パリ

 

 

 

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